千鳥・大悟「たいした人間じゃねぇんだって」コントロール不能なヤギとロケと浜田雅功

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テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(4月24~30日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

文=飲用てれび(いんよう・てれび)

大悟「そうか、たいした人間じゃねぇんだって」

千鳥の大悟がヤギを連れて歩く。いや、ヤギに大悟が連れられていたのかもしれない。

 

30日の『ヤギと大悟』(テレビ東京系)。大悟(千鳥)がヤギと田舎を歩き、行く先々でヤギに雑草を食べさせながら地元の人たちと触れあうロケ番組である。初回は昨年末に放送され、今回は第2弾となる。

番組の中心は「ポポ」と名づけられたヤギ。そんな番組のスタンスを印象づけるように、オープニングはポポが雑草を一心不乱に食べる姿のワンショットである。大悟はカメラのフレームの外で「ポポも無視。

カメラも無視。ワシは何しに来たんか」とぼやき、しばらく画面には出てこない。

その後も大悟は、自分に興味を示さず気ままに歩くポポに振り回されたり、草を食べ続けて動かないポポを動かそうと苦心したり。

ようやくポポが動き出すと、この機を逃すかとばかりに走り出す大悟やスタッフの一群。そんな映像が面白い。

改めて確認すると、この番組の主役はヤギのポポ。「大悟とヤギ」ではなく「ヤギと大悟」なのだ。その関係には、志村けんとチンパンジーのパンくんの姿も重なる。大悟は語る。

「ワシらって、みんなから興味もってもらえてるのがあたりまえみたいに思っちゃう。

この仕事何十年もしてたら。でもポポと会うたびに、そうか、たいした人間じゃねぇんだって」

なお、番組内での大悟とスタッフのやり取りによると、スタッフは訪れる町の下調べ(ロケハン)などはしていないそうだ。ロケは、少なからずポポの動くがままに進行しているということだろうか。

番組や出演者によってコントロールできないものが、番組の中心にある。コントロールできないものに、大悟も、スタッフも、

そして視聴者も視線を注ぐ。ポポを起点に、テレビ画面の内側と外側で、「たいした人間じゃない」もの同士の一時的で擬似的な対等な関係性のようなものが生まれているのかもしれない。

この番組に惹かれる理由のひとつは、そういう雰囲気にある気がする。

あと、地元の人とふれあう大悟の人柄も、いつも以上に魅力的。今回でいえば、畑作業をしてきたおばあさんに対する言葉がけとか、小さな子どもに接する際の感じとか。

「たいした人間じゃない」もの同士の関係性のなかで、そういう人柄の魅力がスッと入ってくる感じがする。

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