中国はテクノロジーを利用して国民を監視するシステムを洗練させており、これまでには一般市民が隣人を監視できるシステムや、外国人ジャーナリストや留学生をターゲットにした監視システムなどが構築されつつあります。
そんな中国の国民監視テクノロジーについて、アメリカの日刊紙であるニューヨーク・タイムズが10万件以上の政府入札文書を調査し、その実態についてまとめたレポートを公開しました。
China’s Expanding Surveillance State: Takeaways From a NYT Investigation - The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/06/21/world/asia/china-surveillance-investigation.html
中国の法律では、政府機関が民間企業と契約した際は製品要件や目的、予算規模などを説明した入札記録の保持・公開が義務づけていますが、実際にはその多くが検索困難なウェブページに散在しているとのこと。ニューヨーク・タイムズはアジアに関する非営利団体・Asia Societyが発行するデジタル雑誌「ChinaFile」が集めた入札記録を独占的に共有してもらい、中国の監視システムについての分析を行いました。
ニューヨーク・タイムズが報告した内容は以下の通り。
◆警察は顔認識カメラの効率を最大化するため戦略的にカメラを配置している
アナリストの推定によると、全世界にある約10億台もの監視カメラのうち半数以上が中国に存在するとのこと。ニューヨーク・タイムズが分析した入札文書の多くで、中国の警察は食事・旅行・買い物・娯楽など人々のニーズを満たす場所にカメラを設置する意向を示していたほか、住宅・カラオケ・ホテルなどプライベートな領域にも顔認識カメラを設置したがっていたそうです。
ある事例では、福建省福州市の警察がアメリカのホテルブランド・デイズ インのフランチャイズホテルのロビーにカメラを設置したいと考えていたとのこと。このホテルのフロントデスクマネージャーはニューヨーク・タイムズに対して、カメラには顔認識機能がなく、警察のネットワークにも動画を提供していないと回答しました。また、福州市の警察はシェラトン・ホテルにもカメラを設置し、ホテル側は2019年に地元政府の要求に従って動画を提供したこともわかりました。
Source: GIGAZINE(ギガジン) 最新情報