(略)理論上は、IgMが陽性でIgGが陰性であれば感染初期の可能性があり、IgMが陰性でIgGが陽性であれば感染は少し前に起こっていたということになる。
ただ、現時点の抗体検査には課題も少なくない。一つは陽性率(感度)の問題で、いま出ているキットは、抗体があっても陽性と判定される割合が低いのだという。久住医師も「特にIgMを調べる検査キットは、陽性率が低すぎるので使えない」と言う。実際、欧米でもこの陽性率の低さを問題視している。
わが国でも、感染症研究所がイムノクロマト法による抗体検査について評価した結果をウエブサイトで公表している。それによると、PCR検査で陽性となった患者(37症例)の血液を用いて抗体検査を実施。発症後7~8日の陽性率はIgMが10.0%、IgGが25.0%、9~12日が4.8%、52.4%、13日以降は96.9%だった。
この抗体検査に関して、感染研は「診断において有用となることが期待されている。一刻も早い臨床現場への導入が求められている」としつつも、陽性率などが抗体検査に用いる試薬によって異なる可能性もあり、「慎重な検討が必要である」としている。
また、私たちがこの検査を受けることができるわけでもない。久住医師は「現段階では研究用試薬なので、導入した医師が必要だと判断したときに、医師の裁量で使うことができますが、広く普及しているものではありません」という。
実用化に向けては、無症候性感染者かどうかを調べる手段に期待が集まるが、感染研の評価で用いた検体は症状が出ている患者のものであるため、冒頭の無症候性感染者だった人が検査を受けた場合、どのような結果になるかは未知数とのことだ。
それを踏まえても、久住医師はこの検査に期待を寄せる。
「抗体を持っている人を私は“ニュータイプ”と呼んでいますが、そういう人たちはむしろ積極的に経済活動を行い、社会を支えてくれることが望ましいと思っています」
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Source: trend情報