犬を飼ったことがある人なら、犬がうれしい時にぱっと顔をほころばせたり、悲しい時にシュンとしたりと、まるで人間のように表情を変えるのを見たことがあるはず。
犬が人間に見せる表情、特に目や口の周囲の表情を作る筋肉には、犬の祖先であるオオカミとはまったく異なる特徴があると、専門家は指摘しています。
2022年4月に開催された学術研究発表イベント・Experimental Biology 2022で、犬の表情を作っている筋肉についての研究結果を発表したのは、
アメリカ・デュケイン大学のアン・バロウズ氏らの研究チームです。
同氏らは以前発表した別の研究で、犬の目の周囲にはオオカミにはない筋肉があり、犬はこの筋肉で実現した
「子犬のような目」で人間の心を捉えていることを明らかにしています。
犬は人間の心を動かす「子犬のような目」を進化で身に付けた - GIGAZINE
犬の表情の研究を続けていたバロウズ氏らは、犬の顔にある筋肉の構造に着目し、目の周囲と口の周囲にある筋細胞のサンプルを採取して、オオカミと比較しました。
その結果、犬の筋繊維の66~95%は動きが速いが疲労しやすい「速筋」で構成されているのに比べ、オオカミの「速筋」はたった25%だということが分かりました。
一方、動作は遅いが持久力がある「遅筋」の割合は犬が10%しかないのに対し、オオカミは29%だったとのこと。これは、オオカミより犬の方が、
目の周りや口の周りの形を素早く変えるための筋肉が発達していることを意味しています。
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